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【2月メルマガ限定記事】ご存じですか?自治体によって「里親」の数が大きく違うこと

SOS子どもの村JAPAN 、事務局の藤本です。

SOS子どもの村JAPANでは、里親制度を活用しながら、地域で子育てを支え合う仕組みを作ろうとしています。

具体的には、地域の里親家庭に「子どもショートステイ」の受入の担い手になってもらうことで、子どもや家族の身近な支援の仕組みにしていこうとする取り組みです。このことは、全国的にも「虐待防止の切り札」として注目されており、他の自治体からの行政視察が増加していることからも関心の高まり感じます。

しかし、この取組みを進めていくにはいくつかのハードルがあります。その一つが「里親の数」です。実は、里親の数は自治体によって大きく差があるため、里親を増やすリクルート活動は重要な取組みになってくるかと思います。

日本における里親の数を増やそうとする方針は、2017年の厚生労働省の検討会において、「新しい社会的養育ビジョン」としてまとめられました。

親と一緒に暮らすことができない子どもたちを、社会が養育する仕組みを「社会的養護」と言いますが、この「新しい社会的養育ビジョン」では、「社会的養護」の子どもたちを里親家庭に託す「委託率目標」が掲げられました。

厚生労働省 – 新しい社会的養育ビジョン

社会的養護の子どもたちの里親への委託率は、国平均で約20%程度ですが、愛着形成に最も重要な時期である3歳未満については5年以内に、それ以外の就学前の子どもについては7年以内に75%以上にすることを実現し、学童期以降は50%以上を目指すこととして、かなり高い目標を掲げています。

新しい社会的養育ビジョン」を受けて、各々の自治体では委託率の数値目標を掲げながら、里親を増やす活動を行っていますが、現在のところ自治体間で大きく差がでています。

令和2年度末の、里親委託率の全国平均は22.8%に対し、1位は新潟市(58.3%)、2位福岡市(56.9%)、3位静岡市(48.7)となっており、68位金沢市(12.5)、69位熊本県(11.5%)、最下位は宮崎県10.6%となっており、自治体によって大きく差があることがわかるかと思います。ちなみに、東京都(16.6%)、大阪府(19.3%)、名古屋市(16.2%)です。

実は、福岡市は今でこそ里親委託率の高い自治体ですが、2004年、当時の全国平均8.4%よりも低い6.9%でした。

福岡市では、2003年の状況をきっかけに里親を増やす活動につながっていきます。

2003年の秋頃、福岡市では虐待事例が増加したことで児童養護施設が満杯になり、子どもたちを近隣の県にお願いしなければならない状況となりました。

また、一時保護所も、廊下に布団を敷いて寝なければならないほど子どもたちであふれかえる状況となり、何週間も過ごす子どもたちは対人関係のストレスと行き先が決まらないストレスを抱え集団が不安定に、それがまたストレスを生むという悪循環があり、一時保護所はさながら“野戦病院化”していたそうです。

市内に施設を新設するのはむずかしいし、お金も時間もかかってしまう。

その頃、第10回日本子ども虐待防止学会(福岡大会:実行委員長 満留昭久小児科医。後にSOS子どもの村JAPANの初代理事長)が開催され、その関連事業として、子どもの関係団体で実行委員会をつくり、市民フォーラム「子どものいのちと心が尊重される社会の実現をめざして」が開催されました。

実行委員の中に里親制度に興味のある方がおられ、分科会の一つとして「里親」について取り上げられました。その市民フォーラム全体では、2日間で1000 人もの市民が集まるほど高い関心を集めたそうです。

それを目の当たりにした行政は、「里親開拓にNPOの力、市民の力を活かせないか?」と考え、施設の定員を増やすのではなく、民間と連携して⾥親を増やす⽅向に舵を切ります。

当初、福岡市役所の中には、NPOに委託することに対して反対の声もあったようですが、NPO法人 子どもNPOセンター福岡、当時の代表だった大谷順子さん(後にSOS子どもの村JAPAN専務理事)や、福岡市の児童相談所“えがお館”の初代名誉館長である坂本雅子さん(小児科医:現、SOS子どもの村JAPAN常務理事)を中心に、さまざまな民間団体と連携し、福岡市と協働することで里親の普及活動へとつなげていきます。

あれから約20年が経過し、福岡市は全国で2位となる高い里親委託率の自治体となりましたが、その「きっかけ」や、「官民連携」による「広報活動(フォーラム開催)」が素地になっていることを改めてお伝えしたいと思いました。

住んでいる自治体によって里親の数が違い、このことで「子どもショートステイ」という行政サービスを享受できる度合いが異なります。私たちは、オンライン説明会などの広報活動を通じて、福岡市以外にお住まいの皆さんにこのことお伝えしたいと考えております。

3月のオンライン活動説明会は、毎週開催予定です!

<次回の開催>
・3月8日(水)19:00〜21:00「子どもショートステイの取り組み」
・3月15日(水)19:00〜21:00「SOS子どもの村JAPANの活動について」
・3月22日(水)19:00〜21:00

お申し込みはこちらから

活動説明会などの広報活動は、SOS子どもの村JAPANの「寄付サポーター」の皆さまによって支えていただいていると実感いたします。いつも温かいご支援と応援、本当にありがとうございます。

活動紹介ページにつきましてはこちらから

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