特集レポートFeature Report

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新しい拠点「あかり」が開所しました

子どもと家族を孤立させない地域へ。「あかり」が始まりました

2年間の準備期間を経て、2026年8月、福岡市西区姪浜に、多機能・都市型児童家庭支援センター「あかり」が開所しました。
「あかり」の建設には、日本財団をはじめ、個人の皆さま、企業・団体の皆さまなど、多くの方々からご支援をいただきました。

622名のご支援をいただいた、クラウドファンディングのページ →まちのあかりプロジェクト

この場所は、私たちだけの力で生まれたものではありません。
「子どもや家族を、地域全体で支えていきたい」
その思いに、多くの方々が力を寄せてくださったことで、ようやく形になった場所です。

ニュースレターVol.23『まちに、変わらずに「在る」ということ』では、これまで活動を支えてくださった皆さまに向けて、「なぜSOS子どもの村JAPANが『あかり』をつくろうとしているのか」を、関係者へのインタビューを通してお伝えしております。

この特集では、「あかり」は、何のために存在するのか、私たちは、この場所を通して、どんな地域をつくろうとしているのかについて、改めてお伝えしたいと思います。

子育ては、家庭だけで担うものなのか

子どもは、家庭の中だけで育つわけではありません。
近所の人の声や気配があり、誰かがそっと見守っている。
困った時には、「大丈夫?」と声をかけてもらえる。

本来、子どもも大人も、そうした小さなつながりの中で支えられてきました。
けれど今、子育ては孤立しやすくなっています。
家族や親族が近くにいない。
地域とのつながりが薄い。
困っていても、誰に頼ればよいのかわからない。

そうした環境の中で、不安や疲れ、困難を家庭だけで抱え込み、助けを求める言葉さえ失ってしまうことがあります。
私たちは、日々の相談支援やショートステイ、子どもの居場所の現場で、そうした家庭に何度も出会ってきました。

そこで感じてきたのは、
「困ってから相談につなぐ」だけでは、十分ではない場合がある、ということです。

「問題が起きてから支える」から、その前につながる支援へ

これまでの児童福祉は、困難が顕在化した後に支援を行う仕組みが中心でした。
「虐待が起きた。」「家庭で暮らすことが難しくなった。」「子どもを一時保護する。」「施設や里親家庭へ措置する。」

しかし、家庭が限界を迎える前に、地域で必要な支援につながることができるようにする。
「あかり」は、その考えを形にした場所です。

点だった支援を、「面」にする

SOS子どもの村JAPANは、2010年の子どもの村福岡の開村以来、児童家庭支援センター、子どもショートステイ、ヤングケアラー支援、子どもの居場所など、さまざまな形で子どもと家庭と関係を築いてきました。

一つひとつの事業には、それぞれ大切な役割があります。
ただ、実際の家庭の暮らしは、制度ごとに分かれているわけではありません。

学校、親子関係、経済的なこと、子育ての疲れ、家族の病気の介護、子どもの発達や心理のこと。
さまざまなことが重なって、困りごとがあります。

だからこそ、「この相談はここ」「この制度はここ」と支援を切り分けるのではなく、その家庭の暮らし全体を支える仕組みが必要です。

「あかり」では、児童家庭支援センター、子どもの居場所、子どもショートステイ、地域交流などの機能を一つの建物に集めました。フロア構成も、1階の地域交流室から、子どもの居場所、子どもショートステイ、相談室へと、多様な支援が一つにつながる設計になっています。

これは単なる「複合施設」ではありません。一つひとつ点として存在していた支援を、子どもと家庭を中心に、もう一度つなぎ直す試みです。

支援が必要な人だけが来る場所にしない

「あかり」が目指している、もう一つの考えがあります。
それは、「支援が必要な家庭だけが来る場所にしない」ということです。
本当に困っている家庭ほど、「助けて」と言えないことがあります。相談機関に行くこと自体に、大きなハードルを感じる人もいます。

けれど、子どもが遊びに来る。ご飯を食べる。誰かと話す。地域のイベントに参加する。
そうした日常の延長線上なら、人はつながりやすい。

 

「あかり」にある、いくつもの入口

「あかり」には、子どもや家族がそれぞれの状況に応じてつながることのできる、いくつもの入口があります。
相談したいとき。少し休みたいとき。子どもが誰かと過ごしたいとき。あるいは、特別な用事はなくても、誰かと話したいとき。
どこから入っても、その人に必要な支援やつながりへと結びついていけることを目指しています。

児童家庭支援センター「SOS 子どもの村西部」 ― 子どもと家族の相談を受けとめる(平日17:00~20:00 土日祝日10:00~17:00  定休:月曜日)

子育ての悩み、親子関係、学校生活、子どもの発達や行動、家族のことなど、子どもと家庭に関するさまざまな相談をお受けします。
心理職などの専門職が、子どもや保護者のお話を伺いながら、一緒に考えます。必要に応じて、学校や行政、医療機関、そのほかの支援機関とも連携します。
「どこに相談したらよいかわからない」というときにも、まず話してみることのできる場所でありたいと考えています。

地域子育て相談機関 ― 身近な場所で相談できるように、相談員が訪問しています

子育てに不安や悩みがあっても、自分から相談機関を訪ねることには、ためらいやハードルを感じることがあります。
そこで「あかり」では、相談を待つだけではなく、相談員が地域に出向き、子どもや保護者が普段利用している身近な場所で相談できる機会をつくっています。
子どもプラザや子育て交流サロン、子ども食堂などを相談員が訪問し、子育てのちょっとした悩みや不安、家庭で抱えている困りごとなどについて相談を受けています。

「相談機関に行くほどではないけれど、少し誰かに聞いてほしい」
そんな段階から気軽につながることができるよう、地域の中に相談員が出向き、顔の見える関係をつくっていくことを大切にしています。

相談が必要になってから「あかり」に来てもらうだけではなく、私たちの方から地域へ出ていく。
この取り組みも、「困ってからつながる」のではなく、「困りごとが大きくなる前につながる」ための大切な入口の一つです。

子どもの居場所「あかり」 ― 子どもが安心して過ごせる場所(児童育成支援拠点事業)

放課後や休日などに、子どもたちが安心して過ごすことのできる居場所です。
遊んだり、ご飯を食べたり、宿題をしたり、スタッフやほかの子どもと話したり。何か特別なことをするためだけの場所ではありません。
家庭や学校とは少し違う場所に、自分を気にかけてくれる大人や、一緒に過ごす人がいる。そんな日常的なつながりを大切にします。
また、子どもとのつながりをきっかけに、家庭が抱えている困りごとに気づき、必要な支援へとつながることもあります。

子どもショートステイ ― いざというときのための宿泊機能

「いざというとき」に備えて、「あかり」には子どもが宿泊できる機能を設けています。
普段は家庭で暮らしている子どもが、必要なときに安心して泊まることのできる場所が地域にあること。
それも、「子どもと家族を孤立させない」ための大切な支えの一つだと考えています。

ヤングケアラー当事者のサロン ― 同じ立場の人とつながれる場所

「あかり」では、ヤングケアラー当事者が集まり、安心して話したり、同じような経験を持つ人と交流したりできるサロンを開催することができます。
同じ立場の人と出会い、気持ちや経験を分かち合える場所が地域の中にあることを大切にしています。
相談や支援だけでなく、「ここなら安心して過ごせる」「自分と似た経験をしている人がいる」と感じられる場をつくることも、「あかり」の役割の一つです。

地域交流室 ―立ち寄れる場所

1階には、地域に開かれた交流スペースがあります。
子どもや保護者、地域の方々が集まったり、イベントや交流の機会をつくったりすることで、「支援する人」と「支援される人」という関係だけではない、人と人とのつながりが生まれる場所を目指しています。

相談するほどではないけれど、誰かと話したい。子どもと一緒にちょっと立ち寄りたい。地域で何かできることを探している。
そんな人も含めて、さまざまな人が行き交うことが、「あかり」の大切な役割です。

2026年8月26日:開所式の様子(KBC九州朝日放送 TikTok)

スタッフ構成(計16名)
センター長、相談支援員(心理士)、ソーシャルワーカー、養育支援、調理員、送迎など

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本建設事業は、公益財団日本財団様による助成事業により実施しております。日本財団

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