【レポート 1月16日 福岡地区小児科医会共催研修会】

2015.01.20

レポート

「家庭養護(里親、ファミリーホーム)の推進は、市民の理解と専門家によるサポートが両輪でなければ進まない」という経験則にもとづき、SOS子どもの村では小児科医や精神科医、弁護士などとの専門家多分野ネットワークを構築するために、様々な啓発研修会や協働事業を4年前から行っています。

今回は、小児科医やコ・メディカルスタッフを対象とした第4回目の研修会です。テーマは、「子ども虐待が脳に与える影響と回復の可能性」

講師は、友田 明美 先生(福井大学子どものこころの発達研究センター)です。友田先生は熊本大学在職中にハーバード大学などと共同研究をし、子ども虐待が脳にどのようなダメージを与えるのか、被虐待児の脳画像を解析して明らかにされてきました。

福岡市こども総合相談センターの藤林武史所長から「子ども虐待と社会的養護」について事例を交えてお話しいただいた後、その虐待が子どもにもたらす影響についてお話しいただきました。

その中でも印象に残ったことは、暴言等による心理的虐待(身体的虐待を伴わない)や夫婦間暴力(DV)の目撃であっても、脳に大きなダメージを与えるということです。暴言によって聴覚野が変形、DV目撃によって視覚野が縮小、厳しい体罰で前頭前野が委縮するという恐ろしい結果です。心理的虐待やDV目撃は、身体的虐待などに比べるとその緊急性は低く見積もられがちですが、どんな虐待であっても、子どもに大きな後遺症を残すことにつながるということが実証されてきたということです。

しかし、脳には可塑性(かそせい)という、ダメージを受けたとしても他の部分で補っていく回復力を持っています。虐待をいちはやく発見し、子どもを早期にケアしていくことで、そのダメージを小さくしていくためには、保育・教育、小児・精神医療、児童相談所などの子ども福祉に関わる専門家が連携し、子どものケアにあたっていくことが必要だと言われています。

友田先生の研究結果などをお知りになりたい方は、ご著書「新版 いやされない傷」に詳細が書かれていますので、ご参照ください。 10943704_785477278187777_385419622751720649_n

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